「車内での化粧はみっともない?」

「車内での化粧はみっともない」という広告を東急電鉄が作成したことが、つい先日話題になりましたね。これは、車内マナー向上プロジェクトの一環として、「わたしの東急線通学日記」の一部としてつくられたものです。東急電鉄のウェブサイトによると、

「マナー向上への取り組みとして、マナー広告とドラマを融合させた新しいシリーズをスタートしました。
駅ばりポスターと動画にて、東急線で日常的にトラブルにつながるような利用シーンなどをストーリー仕立てに描写します。」

だそうです。

(まだこの広告を目にされていない方はこちらをご覧ください。:https://www.youtube.com/watch?v=BPKmgGBP45I

乗客からの苦情の中で車内での化粧に関するものが多かったそうで、東急電鉄はこの広告の作成に踏み切ったそうです。

車内での化粧、というテーマは、働く女性にとっては非常に身近なのではないでしょうか。そこで、今回のブログではこの問題について少し深く掘り下げてみようと思います。

■そもそもなんで迷惑なのか?
この広告に始まったことではなく、車内での化粧へ疑問を呈する声は前からありました。では、車内の化粧がなんで迷惑だといわれるのか。整理してみましょう。

①化粧道具のニオイがきつい
②化粧道具の粉が飛ぶ
③他人がメイクをしているのを見たくない
④人の面前でメイクをするのは「みっともない(=マナー違反)」だから

理由①と②は迷惑な理由がはっきりとしていてわかりやすいですね。注目すべきは理由③と④。社内の化粧が迷惑という人は、だいたい③と④の理由に言及する人が多いのではないでしょうか。しかし、これらの理由は①と②に比べてかなり曖昧で主観的であることがわかります。

■なぜ車内で化粧するのか?
それでは、化粧をする側の理由を整理してみましょう。

①自宅で化粧をする時間がなかったから
②車内にいる人は他人なので、化粧するのを見られても気にしないから

この広告が大きく取沙汰されてから、なぜ女性が電車で化粧をしなければならないほど切羽詰まっているのかを考えてみました。人により、ただタイムマネジメントができていなかったり、そもそも化粧は電車でするものと思ったりしている方もいるかもしれませんが、車内で化粧をする方の少なくとも半分は、時間がなくて止む無く電車で化粧をしているのだと思います。

そこで考えられるのは、特に家庭を持っている働く女性の場合だと、どうしても思うように時間が作れないことが多いということです。小さい子供がいたら、朝は特に戦場となるのではないでしょうか。自分の化粧をそっちのけにしなければいけないこともあると思います。

しかし、会社に化粧なしで出社するわけにはいきません。そこで、多くの女性は化粧をする場として車内を選ぶのではないでしょうか。

■その他考えるべき事柄
車内での化粧や、それに対する批判の前提として、その他にも考えるべきことというのもあります。

一つ目は、日本に特有の、働く女性は必ず化粧をしなければいけないという圧力。化粧は女性の「マナー」、すっぴんの顔は「失礼」とはよく言われることですよね。アメリカ・イギリスで過ごして思ったのは、働く女性の「化粧をしなければいけない意識」が日本では断トツに高いということです。対してアメリカやイギリスでは、ほとんど化粧をせずに出社する女性も多くいます。すっぴんの顔が「失礼」などという意識はありません。日本では、電車で化粧をするほど、そのプレッシャーが強いということではないでしょうか。

二つ目は、車内環境の悪さ。首都圏の通勤事情は劣悪です。化粧に対する批判が多いのも、これが原因の一つではないでしょうか。すいている電車では、化粧のニオイや粉などはあまり気にならないでしょう。満員電車だからこそ、それが気になるのです。社内環境の悪さというのは、痴漢というように、他にもいろいろな問題を引き起こします。車内での化粧ということに限定して問題視するのではなく、より視野を広げてこの問題の構造全体を見る必要があります。

三つめは、「マナー。」日本では概して、なんでも「マナー」で片づける傾向があります。車内の化粧はみっともない、「マナー」がなっていない、車内でベビーカーを折りたたまないのは「マナー」がなっていないから、車内で携帯電話を使うのは「マナー」違反、車内での飲食も「マナー」違反。これらの「マナー」の使用方法で分かるのは、「マナー」という言葉を使うことでその行為の主体者にすべてを責任転嫁して、他の外的要素は全く考えないという思考停止が起こっているということです。化粧の例で考えれば、人前で化粧をするのはやってはいけないという「常識」を共有していないあなたが悪いという議論で止まってしまっていて、それ以上は発展しないのです。この思考停止が起こると、問題解決は絶対にできません。

車内での化粧というのは、フルタイムで働く女性にとっては切っても切れないテーマではないでしょうか。ほかにもたくさんの問題があるのに(痴漢など)、車内での化粧をここまで大きく取り上げて批判することに対しては、疑問を感じました。そこで書いたのが今回のブログです。車内での化粧に限らず、「マナー」片づけられている事柄をより深く考えると、問題の構造をより大きくとらえることができると思います。

熊谷 ひかり

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