「女性の社会進出が少子化を加速させている」のウソ

11月16日付の朝日新聞の、『自民、政治男女均等法案に異論続出「有能なら自力で」』という記事を読みました。http://www.asahi.com/articles/ASJCJ4RD2JCJUTFK00H.html

国会や地方議会の男女割合の格差を狭めるための、政治分野における男女共同参画推進法についての自民党内での議論の中で、異議が続出したそうです。

主な意見として、

1.女性の社会進出が少子化を加速させている

2.法律を作ることで男女の対立が生じるかもしれない

3.能力のある女性は法律がなくても自力で這いあがる

等があがったそうです。

2016年とは思えないような発言の数々ですね。「女性活躍」を掲げている割には、かなり逆走した意見が出たようです。

しかしながら、日本の政治分野での男女格差は先進国だけではなく後進国を含めて、かなり大きいのが事実です。以前から、日本の政治の男女格差は世界から是正をするよう指摘されてきました。北欧をはじめ、他国では法を制定して女性の割合が全体の一定数を占めるように決められていることも多いのです。ですから、法律を制定して男女の均等を実現するというのは当然のことのように思えます。

それにもかかわらず、1~3のような意見が出てしまうのが日本の現実。このような考えを持った人が女性の政治参画を妨げているのですね。

また、巷ではよく言われている1の「女性の社会進出が少子化を加速させている」という意見はまったくのウソです。今回のブログでは、これがなぜ間違っているのかということについて書きたいと思います。

 

■「女性の社会進出が少子化を加速させている」の意味?

まずはこの意見がどう間違っているのかを説明する前に、この言葉の意味を整理したいと思います。「女性の社会進出」は、「女性の就業率上昇」となりますね。ですからこの意見は「女性の就業率が増えたことで、子供の数が減っている」ということになります。

しかし、少子化というと、必ずといっていいほど女性が非難の標的になります。ですが、それだけが理由なのではありません。

 

■女性の就業率が高ければ高いほど、合計特殊出生率が高い

まず、先進国に限ると、女性の就業率と合計特殊出生率は比例することがわかっています。

http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/syosika/houkoku/pdf/honbun1.pdf

そしてこれは、日本にも当てはまるのです。

都道府県別で見ても、女性の就業率が高ければ高いほど、合計特殊出生率が高いのです。

http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h26/hakusho/h27/html/n1112000.html

ですから「女性の社会進出のせいで子供が減っている」というのは、根拠を欠いた嘘ということになります。

 

■少子化の原因は女性の社会進出以外にある

少子化の原因は、もっと複雑なはずです。女性の社会進出が問題なのではありません。

少子化の原因として考えられるのは、

1.晩婚化→不妊の増加

2.養育費の増加

3.男性の稼ぎの低下

4.男女ともに過労で、子供を育てる時間がない

5.男女ともに過労で、子供を作る時間がない

6.結婚をしないと子供を作ることができないという考え

7.子供がいなくても幸せを感じられる人の増加

8.女性にかかる負担が多すぎて、子育てと仕事を両立できない

9.育児サービスの利用に対する批判的な目

10.男女ともに、結婚相手を探す暇がない

等が挙げられます。

こうしてみると、少子化は社会全体の問題であることがよくわかります。決して女性だけの問題ではありません。例えば、晩婚化は女性だけではなく、男女の問題です。男性の中には、年収が思うように上がらず、結婚を躊躇する人も多いと聞きます。また、子供にかかる養育費も上がっている中、年収が高くないのであれば、子供を持つことを先延ばしにするのも当然です。

また、特に日本で問題なのは、男女ともに働きすぎで、結婚相手を探すための恋愛に割く時間がそもそもなかったり、結婚していても子供を作る時間が無かったり、子供を育てる暇がないと感じたりする人も多いはずです。また、特に働く女性は、仕事と育児の両立ができないのではないか、と不安になる人も多いでしょう。それは、女性の仕事が忙しいだけではなく、男性の中で家事を行う人がまだまだ少ないからではないでしょうか。

こういった問題は、決して女性だけの問題ではありません。男女で解決しようとして初めて、改善される問題です。

 

■少子化は男性にも責任がある

少子化は、女性だけではなく、男性にも責任があります。ですから、「女性の社会進出によって子供が減っているから、女性は家庭にとどまるべきだ」という発言は、女性を社会の隅に追いやるための手段でしかありません。

よく言われていることでも、本当にそれが本当なのかどうか、精査するのは重要なことです。少子化と女性の社会進出は別問題。この二つをつなげてしまうと、女性がさらに抑圧されてしまうどころか、少子化を食い止めることは絶対にできません。

女性活躍を推進している(はずの)自民党の中に、このような根拠のない発言をする議員がいるのは大変残念なことですし、日本の女性の将来に非常に不安を感じます。彼らは、本当に女性の「活躍」を願っているのでしょうか。本当に少子化を改善したいと思っているのでしょうか。

本当の意味で、女性の活躍を推進できる国に、日本はいつなれるのでしょうか。

熊谷ひかり

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