「女子力高いね」と言われて

ここ数年は、「女性」に代わって「女子」という言葉が非常に多く使われている気がします。一昔前は、「女子学生」や「女子生徒」というように、社会人になる前の女性を指すときに多く使われていたと思います。あるいは、「女子バレー」や「女子陸上」など、男女別のある競技やチーム名にしか使われていませんでした。しかし今や、女性に関わるものなら、なんでも「女子」!「女子」会、腐「女子」、~系「女子」・・・なんでも「女子」という言葉が付きますね。

 

■「女子力」とは何だろう

最近流行っている、「女子」が着く言葉の中でも、非常によく使われているのは、「女子力」だと思います。皆さんの中にも、耳にしたことがある方がいらっしゃるのではないかと思います。実際、この言葉は、2009年の新語・流行語大賞にノミネートされました。

信頼できる辞書に「女子力」は載っていませんでしたが、Wikipediaによると、

輝いた生き方をしている女。輝いた生き方をしている女子が持つ力であり、自らの生き方や自らの綺麗さやセンスの良さを目立たせて自身の存在を示す力、男性からチヤホヤされる力子が持つ力であり、自らの生き方や自らの綺麗さやセンスの良さを目立たせて自身の存在を示す力、男性からチヤホヤされる力。

だそうです。この説明を見る限り、「女子力」は肯定的に使われるようですね。「女子力高いね!」と言われると、嬉しくなるのも納得ができます。

 

■自分の「女子力」を褒められて憤慨

しかし先日、「女子力」を褒められて、全く肯定的に捉えられない出来事が起こりました。

そのきっかけは、2、3ヶ月前のラーメン屋さんでの出来事にあります。私の後輩・同級生合わせて5人と先輩1人、計6人でそのお店に行きました(私はその時、まだ大学生でした)。私はみんなにお水が無いことに気づきました。そのお店では、お水がセルフ式だった上、先輩がいたので、率先して動かねば、と思い、親切心で6人分のお水をグラスに入れ、テーブルに持って行きました。

すると、その男性の先輩から、一言、こう言われたのです。

「いや~、さすが、女子力あるねえ!」

女友達同士で、「さすが、〇〇女子力ある!」と言ったり言われたりしたことは何度かありましたが、この先輩に「女子力あるねえ!」と言われたとき、なぜか非常に複雑な気持ちになりました。そしてだんだん腹が立ってきました。

なぜ私が腹を立てたのか?それは、「女子力」を「女らしさ」に代えるとわかります。まず一点目は、私が親切心でやった水を出す行動が、「女らしさ」を出すための方法として見られたこと。私はこの先輩にチヤホヤされようと思って、水を出したのではありません。ただ、「気の利く人」、「人間力のある人」と思われたかったから、水を出したのです。

二点目。私が非常にがっかりした点は、「水を出す行動」=「女のする仕事」という、その考えが、最難関の大学院に通い、社会の先頭に立っていくだろう20代前半の先輩にも根強く残っていたからです。その時私は卒業を控えた身だったので、社会にでても、この100年前かと思うような性別役割分担意識を持った人と関わらなければいけないのか・・・と落胆し、非常に不安になりました。

 

■「女子力」という言葉に潜む性差別

こんな細かい出来事を引っ張りだして、おかしいんじゃないのか、と疑問に思う方も多いかもしれません。ただ、私のラーメン屋さんでの出来事にあったように、日常的な会話や仕草を分析すると、まだ非常に根深い性別役割意識が垣間見えます。だからこの「ラーメン屋女子力事件」を議論させていただいています。

「女子力高いね」という言葉に嬉しさを感じるとき、私たちは、気遣いが求められる所作(例:水やお茶をだす、テーブルを拭く、料理をしてあげる)、つまり女性的所作ができるということを他人に認められて、嬉しさを感じるのです。残念ながら、どんなに仕事ができるキャリア女性でも、(特に男性に対して)気遣ったり、料理をしてあげたり出来ない女性は、「女子力無し」「女失格」の烙印を押されて、評価はあがりません。この傾向は、家事代行サービスの利用や自分の両親の助けに頼って、キャリア女性自身が家事・育児をしないときに浴びる批判ともつながっています。

私は、気遣いは必要ない、女性は気を使うべきではない、と言っているのではありません。人を気遣い、細かいことに気付く行動が、女性の役割だと思われている点に疑問を感じるのです。男性だろうが、女性だろうが、全ての人間は人を気遣って然るべきです。そこで、私は、「女子力」という言葉の代わりに、「人間力」という言葉を使うことを提案します。そうすれば、「女性らしさ」という考えが薄れ、女性、男性を問わず、皆が率先して、水を出したり、机を拭いたり、料理をしたり、話を聞いたり、人を労る行動ができるようになると思います。

熊谷 ひかり

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